還元主義(その1)

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さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」の続きです。
「これまでの物の見方、枠組みではアフォーダンスを理解することは難しい」ということでしたので、今回から「アフォーダンス」の項を一旦中断して、異なるパラダイムについて取り上げます。
 
まずは、従来的な物の見方である「還元主義」に焦点を当ててみましょう。
論文から引用してみます。
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
成人片麻痺患者の歩き方を理解してみよう。現在の臨床での普通のやり方は、まず歩行を良く観察することから始まる。そして一般的な歩行と比べて、どこがどう違うのかが記録される。そしてそのような違いがどうして生じたのかを考えていく訳だ。
 
手がかりとして、患側下肢の麻痺の程度が調べられる。連合反応や各反射の影響、平衡反応・立ち直り反応の消失のレベル、患肢の粗大筋力や健肢の筋力、関節可動域などが調べられる。さらに感覚や認知の検査が行われる。動機や意欲も評価されるかも知れない。
 
上に調べられた検査項目は、一枚一枚の紙に記され、カルテに挟まれる。熟練したセラピストがそのカルテをぱらぱらとめくると、どうしてその片麻痺患者がそのような歩行をするのかが、直感的にわかるらしい。もっとも学生や経験の浅いセラピストには難しい。私にも難しい。そこでこのやり方がさらに将来進歩したと考えてみよう。
 
このやり方のポイントは、歩行を構成する色々な要素に分け、そのそれぞれの要素がどのように振る舞っているかを明確にするところだ。たとえば滑らかな平地歩行で、ある患者さんの歩行には、体幹機能の低下が70%の影響力を持っている。患側下肢の麻痺が15%、健側下肢の筋力が10%、意欲その他が5%の影響力を持っている、といったことが明確になったとしよう。
 
仮に上のような割合が明らかになれば、患者さんの歩行を変化させるためには、体幹の機能を改善しなければ意味がなくなる。何しろこれが患者さんの歩行に70%の影響力を持っているのだから。最初に10%にすぎない健側下肢筋力などに働きかけようとは思うまい。体幹の安定性が得られないために、代償的に下肢の痙性による尖足を強めるなどと考察すれば、まず体幹の安定性こそが重要な課題となる。
 
このような考え方は還元主義と呼ばれる。たとえば片麻痺患者の歩行パターンなどは、それを構成する様々な要素からなる複雑な現象であり、これを理解するのは並大抵ではないと思われる。しかし、その複雑さは表面的なもので、より基本的で大きな影響力を持った要素、より重要な働きをする要素の振る舞いを理解できれば、その根元的な性質を理解できるとするような考え方である。上の例では、体幹の機能低下が最も重要な要素であり、それによって様々な歩行の性質(尖足、膝のロッキング、分回し歩行など)が説明できると考えるのである。つまり体幹機能に原因を還元(より根元的なものとして他の要らないものを切り捨てること)しているのである。
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
要するに、ある現象を理解する際、わかりやすくするために細かい要素にわけて分析していくという考え方ですね。
 
これは非常に有用で強力なアイデアです。実際に科学革命や産業革命は、還元主義に基づいて成し遂げられたと言われています。いわば、人類の飛躍的な発展を支えた大成功したアイデアです。
 
しかし、どんなに優れたアイデアでも万能とは限らない・・・、という点に注意しておいていただきたいと思います。
 
【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報, No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報, No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.

 
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第2回MTFT講習会のお知らせ

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第2回MTFT講習会のお知らせです。
 
もし患者さんに「腰が痛い」と言われたら・・・・
-腰痛に関するクリニカル・リーズニングと選択可能な治療手技を学ぶ第2回MTFT講習会のお知らせ
 
患者さんから「痛い」と言われると尻込みしたり、無視したりするセラピストがいます。「どうして良いかわからない」とか「その状況を変化させる自信がない」からです。
 
どうするか?簡単なことです。ある部位が痛いと言われたときには、それに対処する適切な方法を学ぶことです。
 
それは単に治療手技のことを言っているのではありません。
 
「腰が痛い」と言われることに対して、いくつかの仮説を頭の中に持つ必要があります。単に「腰が痛い」と言われても、その「部位」も「痛みの性質」も「原因」も様々です。だから難しくもあるのですが、逆に頭の中にいくつかの有力な仮説を持っていて、それに対処する方法を知っていれば、恐れずにアプローチすることができます。この講習会ではこれを学びます。
 
MTFT(Manual Therapy and Functional Training)は、ドイツ生まれの総合的な痛みの改善と予防のためのアプローチです。軟部組織性や骨・関節などの様々な痛みに対する有用な評価や知識、アプローチを身につけて、臨床でセラピストとしてすぐに自信を持って振る舞えるようになれます。
 
もし興味があればドンドン申し込んでいただきますようお願い申し上げます。
 
               記
開催日 2018年8月18日(土)-19日(日)
時 間 18日 9:00-17:00 19日 9:00-16:00
内 容 講習会内容 第2回 「腰痛の改善と予防」
    -腰痛に関するクリニカル・リーズニングと選択可能な治療手技を学ぶ
講 師 Matthias Schulte、勝波省三(通訳兼講師)
    Matthiasは親日家でフレンドリーです。
    色々な臨床の悩みにも真摯に付き合ってくれます。
受講料 35,000円
場 所 広島県福山市引野町南1-6-45 福山医療専門学校
 
申し込み・問い合わせ メールにて①氏名 ②職種 ③職場 ④懇親会への参加の有無を記入の上、西尾幸敏oyazin@outlook.jpまで御送付ください。
※詳しくはCAMRのHP「新着情報!」にも掲載しています。

 
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なぜCAMRなのか?(その3)

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CAMRをおススメする理由の続きです。
一つ目は、システム論をベースにしている、という点。
二つ目は、人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している、という点でした。
 
三つ目は、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしている、という点です。
 
このアイデア自体はCAMRのオリジナルというわけではなく、アメリカでシステム論の議論が活発になされていた頃のHigginsの論文(Higgins S.;Motor skill acquisition. Phys Ther. 1991 Feb;71(2):123-39.)を参考にしています。
 
この論文の中でHigginsは、運動スキルの効果的な獲得には、クライエントを自律的で有能な問題解決者とみなす必要がある、と述べています。
 
しかしながら、リスク管理の問題などもあってやむを得ない面もあるとはいえ、一般的に医療的リハビリテーションの世界では、特に急性期に近ければ近い程、セラピストが管理的に振る舞う場面が多くなると考えられます。
 
また理学療法においては、「評価に始まり、評価に終わる」と言われるくらい評価の重要性が訴えられていますが、リハビリのセッションはその評価の段階からしてセラピスト主導で進められる構造になっています。
 
基本的にはセラピストがクライエントを専門的に評価する、という一方向の流れになり、必然的にクライエントは受け身的な立場におかれてしまうことが多いようです。
 
一方CAMRでは、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしていますので、セッションの最初の段階からクライエントには主体的な役割が要求されます。
 
従来的な運動機能評価に該当する部分については、「評価」の代わりに「探索」という技術が用いられ、クライエントとセラピストが共にそれぞれの立場から運動問題に関する情報を探っていくことになります。
 
従来的な方法論もCAMRの方法論も、それぞれ一長一短があり、どちらが良いというものではありません。
 
しかし、「全人間的復権」というリハビリの大命題や、心理学におけるDeciらの自己決定理論など、内発的動機づけ研究の分野での自己決定や自己選択の重要性を指摘する報告などに照らして考えると、従来的な方法論に加えてCAMRの方法論を知っておくことは、とても有意義なことだと僕には思われるのです。

 
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