アフォーダンス(その2)

目安時間:約 6分

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さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」の続きです。
前回「アフォーダンス」の導入の部分を紹介させていただきました。今回は、

その続きです。
まずは、論文を見てみましょう。
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
アフォーダンスはギブソンの造語である。基になっているのはアフォードと言

う動詞で、「~できる、提供する」という意味を持つ。アフォーダンスとは環

境に存在する事物から、動物(人を含む)に与えられる価値や意味である。こ

れまでのところ、価値や意味は人が判断するものであると考えられている。と

ころがギブソンは、見る者によって左右されない普遍的な価値が物から提供さ

れると考えているのである。
 
 たとえば、ある人がむき身のカキ(牡蛎)を見たとする。これまでの考えで

言うなら、過去に「食べることができる」という見るなり聞くなり食べるなり

の経験をしており、それを基にカキが自分に取って食物であるという意味を人

は判断するのである。しかしギブソンによるとそうではない。むき身のカキは

もともと「食べれるよ」と語りかけているのである。しかも観察者(つまり私

たちを含む動物)が空腹かどうかに関わりなく、語りかけているのである。
 
 一つの物体はたくさんの情報を提供しており、どの情報が受け取られるかは

観察者との相互作用の結果による。台所の食卓の前の椅子を考えてみよう。普

通この椅子は「座って」と語りかける。このことを座ることをアフォードする

と表現しよう。幼児なら這いあがることをアフォードする。ゆで卵を持ったと

きに、座面でコンコン殻を割ることをアフォードするかも知れない。あるいは

夫婦喧嘩の中では、相手を打ち据えるために振り上げることをアフォードする

かも知れない(わが家の話ではない)。棚の上の物を取るときには、その上に

立つことを・・・きりがないのでやめる。
 
 椅子が無限のアフォーダンスを持つように、私たちの暮らす環境も無限のア

フォーダンスを含んでいる。それらは知覚すべき物として常に存在する。それ

らにどのような価値を見いだすかは、観察者による。
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
ここで、「アフォーダンスとは何か?」という部分が語られています。従来的

な考え方では、ある現象の意味や価値は、人が見い出すものだと考えられてい

ました。
 
しかし、ギブソンは環境からも普遍的な情報が提供されていると言います。結果

として、両者の相互作用によって、その時その場の状況に応じて、情報の意味

や価値が決まることになります。
 
ギブソンの主張はまるで、従来的な科学へ挑戦状を叩きつけているかのようで

すね。なぜなら、従来的な科学では「再現性」というものが重視され、「その時その場の状況によって、、」などという曖昧さは、徹底的に排除したいことのはずだからです。
 
はてさて、この後の展開やいかに・・

 
【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報

, No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報

, No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報

, Vol.8 No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報

, Vol.8 No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報

, Vol.8 No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研

究会会報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.

 
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アフォーダンス

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さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」の続きです。
前回「はじめに」の部分を紹介させていただきました。今回から本文の方に入って行き

ます。
一番最初に取り上げられているのは「アフォーダンス」です。
まずは、本文を見てみましょう。
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
私が何か書くときは、女房にそのアイデアを聞いて貰い、意見を聞くことにしている。

彼女は養護学校の教員で、しばしば貴重な意見をくれる。今回、アフォーダンスに関す

る意見をまとめて聞いて貰った。彼女はいくつか質問を繰り返した後で次のように言っ

た。「なんだか、たわごとにしか聞こえないわね。」
 
アフォーダンスというアイデアを生み出したのは、ギブソンというアメリカの知覚心理

学者である。彼のアイデアは全く理解しがたいところがある。「認知心理学の父」と呼

ばれたナイサーが、ギブソンとの出会いを以下のように紹介している。
 
「初めて会ったとき、私は彼が単なる利口な人だと思っていました。やがて時が経つに

つれ、『まったく、なんて彼は頑固なやつなんだろう。どうして<情報は光の中にある

>なんていい続けているんだ?彼は議論が好きなだけなのさ。』と考えました。その後

三年、ある真夜中に、私は、彼が正しいと気づいて、飛び起きました。情報は光の中に

ある。だって、その他のどこにあり得るんですか。」
 
ナイサーでさえ、理解するのに三年の月日がかかったのだ。私がうまく説明できず、女

房が「たわごと」と感じても無理がない。
 
佐々木は以下のように述べている。「ギブソンには『読んで理解する』範囲を越える部

分がある。始めは何度読んでもなかなかわかった感じがしてこない。しかし、時間をか

けて繰り返しその考え方につきあっているとじわじわと変化してくる何かがある。そし

て、いつか、それまでとはまったく違う世界を見ていることに気がつく。」
 
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 
アフォーダンスというのは、日本のPTの世界でも一時期少し流行りましたね。しかし、その本質を理解することは、そう簡単なことではなかったようです。
 
多くの場合、アフォーダンスという言葉を表面的に捉えて使っていたに過ぎず、その本質を捉えた臨床応用の試みというのは、少なくとも僕の知る限りでは、CAMR以上のものはありませんでした。
 
まだここでは、アフォーダンスとは何か、というところまでは触れられていませんので、また次回以降をお楽しみに。
 
※ギブソンの主著は「生態学的視覚論」です。
※「佐々木」とはアフォーダンスを日本に紹介した第一人者、現在、多摩美術大学教授の佐々木正人氏のことです。

 
【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報,

No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報,

No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報, Vol.8

No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報, Vol.8

No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報, Vol.8

No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研究会会

報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.
 
 
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