運動システム

目安時間:約 5分

\(^▽^)/
アロハ~!
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?



さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」シリーズの続きで、今回は運動システムです。
まずは、論文を見てみましょう。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 人の運動システムに、環境をも含むというのがシステム理論の一つの特徴である。人の運動は環境とは切っても切れない関係にある。たとえばレモンをかじると酸っぱいが、レモンは単に化学的な物質を持っているに過ぎない。人の舌も化学的な物質に対する受容器を持っているに過ぎない。まず酸っぱいと感じるためには、この両者が出会って相互作用を起こす必要がある。人の運動も同様で、人は物理的な運動能力を持っている。そして、運動を起こす地面を含め環境と出会うことによって初めて、課題や運動の意味が生まれ、運動が生まれる。



 ここでは、「環境」が「人の運動システム」に含まれるということについてもう少し考えてみたい。もっとも環境といっても10キロメートル先の石ころが、また直径0.1ミリメートルの石粒が歩行に影響を与えるわけもない。通常人の運動システムに含まれるのは、せいぜい数百メートルから数ミリ以上の大きさの範囲のものである。運動システムに含まれる環境は、皮膚によって外界と遮られたものではないが、機能的な単位として見れば、運動を生み出すための「自己」として、自己以外のものと分けることができる。



 この自己の境界線はどんどん変化する。車を運転するときには、おそらく数百メートル先の道路状況や他の車、歩行者まで運動を組織化するために自己として含まれるため、自己の境界線はずっと拡大する。人混みの中で、四方八方を人に囲まれてしまうと、境界線は縮小する。この場合半径数メートル以内の人々と足下のわずかな床面が運動を組織化するために使われる。ところが赤信号などで立ち止まり人混みが途切れ、目の前に広い空間が広がると、自己は一瞬に目の前の空間を取り込んで一気に広がる。運動や行動を生み出す自己の境界線は、一瞬一瞬に変化しているのだ。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 要素還元論に基づいた従来的なリハビリアプローチでは、皮膚で囲まれた「自己」を中心に据えて、そこから個々の要素の分解して分析していきました。
一方システム論に基づくと、人の運動システムというのは皮膚で囲まれた「自己」だけには収まりきらず、しかもその境界線は刻一刻と変化していると考えます。



 上記の車の運転のような例は、実際の日常生活感覚に照らして、すんなり納得できるように感じます。やはり生物学的な個体だけに着目していたのでは、人の運動や活動全般について記述し尽くすことは難しいと言えるでしょう。



 セラピストの臨床においても、要素還元論とシステム論の両方の視点を持って、状況に応じて適切な視点を柔軟に使いこなせるようになれば、より問題解決能力が高まることでしょうね。



【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報, No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報, No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.



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