因果関係論

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さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」シリーズの続きで、今回は因果関係論です。
まずは、論文を見てみましょう。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 さて、因果関係について少し考えてみよう。ビアが自動車の例を扱っているのでこれを使ってみる・・・



 非常に分析的だが、まだ一度も自動車を見たことがない人がいたとする。彼が道路端に座って、自動車というものを観察する機会を得る。彼は次のように考えるだろう。「どうやら自動車というものは、人やものをある場所から他の場所へと運ぶ機械であるらしい」



 そのうち一台の自動車が彼の前で止まる。どうやら動かなくなってしまったようだ。運転手が降りてきて、ラジエーターのキャップをはずし、水を注ぎ込む。その後再び自動車は走り始める。機械一般が外部からの燃料補給を必要とするところから、観察者は「自動車は水を燃料として動く機械である」と考えるかもしれない。無理からぬことである。水は紛れもなく自動車に対する入力であり、走るというのはそれに続く出力である。二つの出来事は時間の経過と共に起こる。



 このように因果関係論というのは、現象の過程そのものではなく、観察者の心の中で創られた物語である。自動車のシステムを観察者が外から眺めて、そう認知したというだけなのだ。



 もし何が起きているのか正確に理解したければ、自動車のことを良く知っておく必要がある。知っていればラジエーターに水を入れることの意味は誤解されることはない。このことは正常運動変化や脳性運動障害を見る場合にも言えることなのだろう。私たちは人の運動とは何かと言うことを良く知っておく必要がある。ところが実際には、医師・理学療法士・作業療法士の間で、運動とは何かについて議論されることはまれである。私たちはまるでそんなことはもう分かっているかのように振る舞うことが多い。ところがちっとも分かってなんかいないのだ。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



僕たちは、ある現象を理解しようとする際に、因果関係を想定することがよくあります。例えば、〇〇が原因で、□□という結果になった、というふうに。
ところが、そう考える根拠は?というと、実はかなりあいまいです。



哲学者の大森荘蔵によると、そのように直線的な因果関係を想定できるような現象はほとんどない、と言っています。そのために、彼は因果関係という言葉は使わずに因果連関という言葉を使っているくらいです。



僕たちセラピストも、何らかの問題があれば「その原因は?」と考えることが多いと思います。しかし、人の運動システムというのはまだよくわかっていないことがたくさんあります。



上の引用にあるビアの例のように、あまりよくわかっていないシステムにおいて安易な因果関係を想定すると、間違ってしまう可能性があるということは理解しておいた方が良いでしょう。



【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報, No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報, No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.



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第3回 CAMRベーシック認定講習会のご案内

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CAMRのフェイスブックページに講習会の案内が出ていましたので紹介させていただきます。
 
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第3回 CAMR認定講習会 ベーシック・コース
 
CAMR(カムル: Contextual Approach for Medical Rehabilitation)はシステム論を基にした日本生まれのリハビリテーション・アプローチです。学校で習う「問題の原因を探してそれにアプローチする」(原因解決アプローチ)に対して「問題発生の状況を理解して、その状況を変化させるアプローチ」(状況変化アプローチ)です。
 
学校で習う「原因解決アプローチ」は非常に有効な問題解決手段ですが、原因が不明だったり、解決困難だったりするとすぐに行き詰まってしまいます。一方「状況変化アプローチ」は問題解決に、原因を必要としません。そしてそれは皆さんの回りにいるベテランでやり手のセラピストが無意識に行っている方法にとても近いのです。
 
そんな「状況変化アプローチ」の治療方略を身につけることができれば、これまでとは段違いに問題解決能力が高まり、患者さんのパフォーマンスを改善したり、問題を解決したりすることができるようになります。その結果、仕事が面白くなりますよ!(^^)
 
日 時 2018年6月2日(土曜日)13時00分-17時00分まで(受付13時00分から)
       ~6月3日(日曜日)8時30分~15時00分(受付8時00分から)まで
場 所 こころ医療福祉専門学校
    長崎県長崎市上銭座町11-8
    「JR浦上駅 徒歩10分」駐車場は少ないとのことでできるだけ
    乗り合わせでお願いします。
対 象 理学療法士・作業療法士
募集数 30名
内 容 システム論を基にしたCAMRの基本的な考え方を中心とした講義5時間と
    それを基にした技術(足場作り、探索、問題発生図)の実習4時間の
    計9時間です。
受講費 7,000円
その他 土曜夜には懇親会を予定しています。希望者のみ。料金別
申込み oyazin@outlook.jp まで。題名に「CAMR申込み」、本文に「氏名、
    職種、経験年数、職場、職場住所」を記入してください。
講 師 西尾幸敏
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