運動学習(その2)

目安時間:約 7分

\(^▽^)/
アロハ~!
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?



さて、「CAMRの胎動-解題!実用理論辞典」シリーズの続きで、今回は運動学習(その2)です。
まずは、論文を見てみましょう。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 人は運動学習において「何を学んで」いるのだろうか?筋の活性化などのプログラムでないとしたら・・・



 システム理論では、「運動戦略」が学習されるということになるのだろう。運動戦略とは、運動システムを構成する様々な下位システムを協調させる規則のようなものである。少し具体的な例で考えてみる。何人かのグループで「本を作る」場合を考えてみよう。一人のリーダーが、自分を含め他のメンバー全員の行動予定表をみっちり作り、行動予定表からずれていないか常に観察し、思い通りにいくように指示を出し続ける、といったやり方はあまり現実的ではない。普通、グループの一人一人は自律的な存在である。一人一人の趣味や特技はもちろん、その人の持つ生活基盤も違っている。従って自分の思い通りに事を運ぼうとするリーダーはよく存在するが、その思惑通りに事が運ぶ事はまれである。



 これは人間という存在がかなり独立して振る舞うからである。つまり他人の思い通りにはなかなか振る舞わない。各人にはそれぞれの希望や夢がある。各人それぞれに、振る舞いを決定するためのルールがある。たとえば一人は、実際に発表したい作品がある。他の一人は皆とわいわい楽しみたいと思っているだけかもしれない。一人はグループの他のメンバーに好意を持っているのかもしれない。そういった人達の集まりにとって、たまたま「本を作る」という目標はとても「価値」のある課題となっている。そしてこの課題を達成するためにはやはりいくつかの規則が存在する。たとえば「活動には休まず、参加する」とかいったものである。



 この例で、人の運動システムを考えてみよう。人という存在は、何か意味のある課題を持つ。たとえば「食物を見つける」とか。その課題を達成するために個性の異なる、しかもかなり自律的なシステムが協力しあう。たとえば力を生み出す筋肉のシステムとか、ある方向への動きを可能にしたり制限したりする骨・関節のシステムとか記憶や認知の役割を持つ神経系システムとかである。それぞれのシステムは、それぞれのルールを持つ。骨・関節は重力の法則に従うし、筋は硬さを生み出すための独自のルールを持つ。それで全体として協力しあうための規則、つまり「運動戦略」が必要となる。



 様々な「運動戦略」が存在すると考えられるが、いろいろ経験してみるとやはり価値のある「運動戦略」が最終的に学習されるようになると思うのだ。たとえばエネルギー効率が一番良いとか。長く立位をとっているときは、筋の作用だけによって膝を伸展位に保つよりは、膝関節の靱帯などの制限なども利用した方が楽だとか、そのためには重心線が膝の前を通るような身体のアライメントをとることだとか、そんなことだと思う。



 だから運動戦略を教えられるかどうかと言えば、教えられない。患者さんの身体の状態とある環境が出会ったときにどのような運動戦略が生ずるか、わかりようがないではないか。



 だが患者さんの運動戦略を変化させることはできる。私たちは患者さんの変化が好ましい方向に向かうことを期待して、いろいろな構成要素を変化させたりする。たとえば関節可動域を、筋力を、あるいは意欲などを変化させることによって、一つ一つのサブシステムの振る舞いを変えることによってである。それは最終的に全体の振る舞いを変えてしまうかもしれない。



 たとえば「意欲を高める」ことは、ある運動をより高頻度に生み出すかもしれない。それは局所的な筋力を高めるかもしれない。全体的な持久力を高めるかもしれない。しかしそれは同時に運動戦略を変化させ、その変化した運動戦略がより異なった運動とその秩序を生み出す。そういった期待はできる。ただその過程を予測することはできないのである。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



多くのセラピストが古典的な運動プログラム説から、なかなか脱することができないでいます。文献などを読んで頭では理解したつもりでも、実際の臨床場面では旧態依然としたことを繰り返している、というのはよくあることです。



CAMRでは「人は生まれながらの運動問題解決者である」という考え方を重視しています。これを理解し実践できるようになるためには、運動学習において「何を学んでいるか?」という点を腑に落ちるまで深く理解する必要があります。



僕は随分長い時間を費やしてしまいました。これからの時代の中心となる若いセラピストたちには、しっかりポイントを押さえてどんどん先に進んでいって欲しいと思います。



【引用・参考文献】
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その1).上田法治療研究会会報, No.18, p17-29, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その2).上田法治療研究会会報, No.19, p1-15, 1995.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その3).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.1, p12-31, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その4).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p76-94, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その5).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.2, p120-135, 1996.
西尾幸敏:実用理論事典-道具としての理論(その6 最終回).上田法治療研究会会報, Vol.8 No.3, p120-135, 1996.



最後まで目を通していただき、ありがとうございます!
あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きます!



マハロ~!



p.s.ブログランキング参加中!ご協力ありがとうございます!!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ

なぜCAMRなのか?(その6)

目安時間:約 4分

\(^▽^)/
アロハ~!
 
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?
 
CAMRをおススメする理由の続きです。
一つ目は、システム論をベースにしている、という点。
二つ目は、人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している、という点。
三つ目は、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしている、という点。
四つ目は、クライエントにもわかりやすい日常的な言葉を用いている、という点。
五つ目は、クライエントとの治療的関係作りも専門技術として捉えている、という点でした。
 
六つ目は、様々な治療手技のプラットフォームとして利用できる、という点です。
 
CAMR独自の技術というのもありますが、一番のセールスポイントはその治療概念だと個人的には感じています。
 
治療概念とは、例えばMindowsやMac OSといったコンピューターにおけるオペレーティングシステム(OS)のようなものだと考えられます。
 
OSをプラットフォームにして、ワードやエクセル、パワーポイントなどのソフトをスムーズに使うことができるように、CAMRの治療概念をプラットフォームにして、様々な治療手技を用いることができます。
 
個々の治療手技は単独で用いてもそれぞれに効果的だとは思いますが、CAMRのプラットフォーム上で利用すれば、また一味違う意味や価値が生まれる可能性があります。
 
現時点でも、筋膜リリースやモビライゼーション、上田法などはCAMRととても相性が良いらしく、よく用いられているようです。
 
逆に相性が悪い手技はというと、、、あまり思いつきません。CAMRでは、これまでに学んできたことや身につけたスキルを、異なる視点で活かすことができます。
 
CAMRをおススメする理由について数回にわたり書いてきました。細かいところまで踏み込むと収拾がつかなくなりますので、以下にまとめて一旦今回で終了にします。
 
【CAMRをおススメする理由】
1.システム論をベースにしている
2.人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している
3.クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしている
4.クライエントにもわかりやすい日常的な言葉を用いている
5.クライエントとの治療的関係作りも専門技術として捉えている
6.様々な治療手技のプラットフォームとして利用できる
 
最後まで目を通していただき、ありがとうございます!
あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きます!
 
マハロ~!
 
 
 
p.s.ブログランキング参加中!ポチッと押していただけるととても励みになります!!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
 
 
【CAMR情報】
CAMR基本テキストCAMR公式FacebookページCAMR公式ホームページ
【経済的自由人への道】
オンライン投資スクールビットフライヤークリプトピースプロジェクト

なぜCAMRなのか?(その4)

目安時間:約 3分

\(^▽^)/
アロハ~!
 
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?
 
CAMRをおススメする理由の続きです。
一つ目は、システム論をベースにしている、という点。
二つ目は、人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している、という点。
三つ目は、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしている、という点でした。
 
四つ目は、クライエントにもわかりやすい日常的な言葉を用いている、という点です。
 
専門職種の人達の間では、専門用語というものが用いられています。専門的な話をする際にはとても便利で重宝するのですが、当然のことながら世間一般の人達にはなじみの薄い言葉がほとんどです。
 
ここでセラピストがよくやってしまいがちなのが、クライエントに対しても専門用語を用いて話をしてしまう、ということです。気を付けてはいても、ついつい無意識のうちに口から出ていることもあるので、なかなかやっかいな問題ですね。
 
その点CAMRでは、重要な概念も割とシンプルな日常的な言葉で説明されています。CAMRでは人の運動システムの作動の特徴という本質的なところから考えていますので、本質というものは案外シンプルに表現され得るものなのかもしれませんね。
 
わかりやすいシンプルな言葉を用いることのメリットは、なんといってもクライエントにとって理解しやすいということです。
 
クライエント自身の運動問題についての理解が深まり、セラピストとの情報共有もやりやすくなります。そうすると増々クライエントの問題解決者としての振舞いが促進される、という好循環が生まれやすくなります。
 
実際にCAMRでは、過去にクライエントから提案された方法が、主要なリハビリ課題の一つとして取り入れられているそうです。

 
そして補足になりますが、シンプルな言葉でクライエントにとってわかりやすいということは、臨床経験の浅い方や新人セラピストにとってもわかりやすいだろうと思われます。
 
最後まで目を通していただき、ありがとうございます!
あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きます!
 
マハロ~!
 
 
 
p.s.ブログランキング参加中!ポチッと押していただけるととても励みになります!!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
 
 
【CAMR情報】
CAMR基本テキストCAMR公式FacebookページCAMR公式ホームページ
【経済的自由人への道】
オンライン投資スクールビットフライヤークリプトピースプロジェクト

なぜCAMRなのか?(その3)

目安時間:約 4分

\(^▽^)/
アロハ~!
 
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?
 
CAMRをおススメする理由の続きです。
一つ目は、システム論をベースにしている、という点。
二つ目は、人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している、という点でした。
 
三つ目は、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしている、という点です。
 
このアイデア自体はCAMRのオリジナルというわけではなく、アメリカでシステム論の議論が活発になされていた頃のHigginsの論文(Higgins S.;Motor skill acquisition. Phys Ther. 1991 Feb;71(2):123-39.)を参考にしています。
 
この論文の中でHigginsは、運動スキルの効果的な獲得には、クライエントを自律的で有能な問題解決者とみなす必要がある、と述べています。
 
しかしながら、リスク管理の問題などもあってやむを得ない面もあるとはいえ、一般的に医療的リハビリテーションの世界では、特に急性期に近ければ近い程、セラピストが管理的に振る舞う場面が多くなると考えられます。
 
また理学療法においては、「評価に始まり、評価に終わる」と言われるくらい評価の重要性が訴えられていますが、リハビリのセッションはその評価の段階からしてセラピスト主導で進められる構造になっています。
 
基本的にはセラピストがクライエントを専門的に評価する、という一方向の流れになり、必然的にクライエントは受け身的な立場におかれてしまうことが多いようです。
 
一方CAMRでは、クライエントを自律的で有能な運動問題解決者とみなしていますので、セッションの最初の段階からクライエントには主体的な役割が要求されます。
 
従来的な運動機能評価に該当する部分については、「評価」の代わりに「探索」という技術が用いられ、クライエントとセラピストが共にそれぞれの立場から運動問題に関する情報を探っていくことになります。
 
従来的な方法論もCAMRの方法論も、それぞれ一長一短があり、どちらが良いというものではありません。
 
しかし、「全人間的復権」というリハビリの大命題や、心理学におけるDeciらの自己決定理論など、内発的動機づけ研究の分野での自己決定や自己選択の重要性を指摘する報告などに照らして考えると、従来的な方法論に加えてCAMRの方法論を知っておくことは、とても有意義なことだと僕には思われるのです。

 
最後まで目を通していただき、ありがとうございます!
あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きます!
 
マハロ~!
 
 
 
p.s.ブログランキング参加中!ポチッと押していただけるととても励みになります!!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
 
 
【CAMR情報】
CAMR基本テキストCAMR公式FacebookページCAMR公式ホームページ
【経済的自由人への道】
オンライン投資スクールビットフライヤークリプトピースプロジェクト

なぜCAMRなのか?(その2)

目安時間:約 5分

\(^▽^)/
アロハ~!
 
しあわせ探検家の晋作です!
ご機嫌いかがですか?
 
CAMRをおススメする理由の続きです。
一つ目は、システム論をベースにしている、という点でした。
 
二つ目は、人の運動システムの作動の特徴に基づいてアプローチを構築している、という点です。
 
例えば一般的には、疾患によって症状や障害の特徴が異なるので、疾患別リハビリテーションという形で、疾患ごとに評価項目や治療方法が検討されることがよくあると思います。もちろん、これは有益なやり方の一つですでの、それはそれで良いと思います。
 
一方で、CAMRではより本質的・原則的なところに着目しています。それが、人の運動システムの作動の特徴、ということです。
 
人の運動システムの作動の特徴は、神経疾患であろうと、運動器疾患であろうと、内部疾患であろうと、変わりません。具体的な部分に着目するとまったく違うように見える現象も、より抽象度の高い視点でみると、その本質や原則は同じだということもあり得ます。
 
つまり、この本質・原則をつかんでいれば、ブレることなく、どんな疾患にも対応できる基礎をつくれる可能性がある、ということです。
 
例えば運動分析の視点の一つに、正常歩行、異常歩行といった概念があります。多くの若い健康な人の歩き方を運動学的に分析して、そこから抽出された標準的な歩行様式が運動学的な「正常歩行」と理解されています。
 
クライエントの歩行を調べて、その「正常歩行」と比較して、逸脱した要素が顕著に表れていれば、「異常歩行」と認識するわけです。
 
ここでは運動学的な分析をしていますので、ここで捉えられる異常な要素とは、「患側の支持期に反張膝が見られる」とか「患測の立脚期が短い」といった、主に運動の形や時間差に関わる部分ということになります。
 
そして異常な要素があれば、「なぜそうなっているのか?」と問いを立て、その原因を探ってアプローチにつなげていくわけですね。
 
これをCAMRの視点で見直してみると、少し異なった解釈になります。
 
「患側の支持期に反張膝が見られる」とか「患測の立脚期が短い」といったことは、運動学的に正常であろうが異常であろうがおかまいなく、「クライエントが自律的に問題解決を図ろうとした結果」というふうに捉えます。
 
そして、「このクライエントの運動システムが選択した問題解決方法とは何?どのようなもの?」と問いを立てて、アプローチにつなげていきます。
 
一般的な見方による運動の形や時間差の異常は、多様な様式となって現れます。そして疾患によって特徴がマチマチなので、疾患別リハビリテーションというものに帰結するのもごもっともなことです。
 
一方で、より本質的・原則的な運動システムの振舞いに着目すれば、それらはすべて同じく、症状などに対して運動システムが問題解決を図ろうとした結果、と考えられるので、また異なったアプローチを導き出せることがあります。
 
ここでも、一つのパラダイムだけに依存した視点よりも、二つのパラダイムによる視点を状況に応じて使いこなせる方が有利だということが当てはまると思います。
 
また、将来的には病気を治せる時代が来ると思われます。そうなったら例えば「脳を治す」というようなリハビリは必要なくなります。
 
リハビリ自体の必要性がまったくなくなるわけではありませんが、そのように時代にも生き残ることができるのは、いくら時代が変わろうとも変化しない、本質的な部分を扱っているものになるのではないでしょうか。

 
最後まで目を通していただき、ありがとうございます!
あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きます!
 
マハロ~!
 
 
 
p.s.ブログランキング参加中!ポチッと押していただけるととても励みになります!!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
 
 
【CAMR情報】
CAMR基本テキストCAMR公式FacebookページCAMR公式ホームページ
【経済的自由人への道】
オンライン投資スクールビットフライヤークリプトピースプロジェクト

ページの先頭へ